【書評】宮田昌明著『英米世界秩序と東アジアにおける日本』

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宮田昌明著 『英米世界秩序と東アジアにおける日本――中国をめぐる協調と相克 一九〇六~一九三六――』

支那事変に端を発する大東亜戦争を巡つては、これまで活発な議論が続けられてきた。侵略戦争論・帝国主義戦争論を振りかざす左派に対し、右派は自衛戦争論・植民地解放戦争論を以て対抗する。昨今は、ソ連の謀略を云々する論者も少なくない。大東亜戦争に対する歴史的評価は戦後体制に対する政治的立場と複雑に絡み合ひ、歴史学界においても事実を確定し、帰納的に結論を導くといふ学問として当然求められる手続きが等閑にされてきた。

日露戦後から支那事変勃発に至る我が国と英米との外交関係を論じた本書において、宮田氏は一般的な外交史の叙述に止まらず、それらの背景となる各国の国家観や社会秩序観などと結び付けて立体的に描き出し、演繹的かつ馴れ合ひ的に形成されてきた通説を厳しく批判してゐる。その結果、日本と英米との相克は単なる利害の対立といふよりも、相互に理解し得ないほど掛け離れた社会像の乖離に由来することが明らかとなつたものゝ、このやうな研究手法を採用したゝめ、本文だけで七九七頁に及ぶ大冊となつた。その中心は三部二十章にわたる本篇だが、各章それぞれ単独の学術論文としても通用する重厚なものだ。そのため、最初から最後までから通読するといふよりも、総論および要約である「はじめに」および前史・予備知識である「序章」と総括・後史である「終章」に目を通して全体像を把握した上で、各章に取り組んだ方が分かり易いかもしれない。(評・金子宗德)

〔國民新聞平成26年11月25日号掲載分〕

英米世界秩序と東アジアにおける日本――中国をめぐる協調と相克 一九〇六~一九三六――

日本の外交史研究の可能性に挑む大作

二十世紀前半の日本の中国外交と世界意識、英米の世界戦略と東アジア外交、各国の内政、外交、通商、移民、安全保障の交錯を緻密に描く

著者 宮田昌明 著
定価 10584円(8%税込)
本体 9800円(税別)
A5判/上製本・カバー装
発行日 平成26年9月3日
ISBN ISBN978-4-7646-0339-4
ページ数 896頁

上下二段組でA5判八九九頁。本体価格は九八〇〇円。注文は本部にて承ります。

目  次

はじめに
序章 自由主義の理念と制約される世界

第一部 対等の地位を目指して
第一章 桂園時代の国家的展望
第二章 同盟外交と通商条約改定交渉
第三章 革新主義時代のアメリカ
第四章 辛亥革命、大正政変とその後の内外情勢の緊迫化
第五章 第一次世界大戦期の日本の中国外交
第六章 第一次世界大戦期の日米関係
第七章 国際連盟の創設

第二部 国際的自立と内外融和への模索
第八章 ワシントン会議から排日移民法の成立へ
第九章 戦後イギリスの政治理念と外交、帝国戦略
第十章 日本における政党内閣と内外政策の転換
第十一章 北京関税特別会議と北伐への対応
第十二章 陸軍改革運動と張作霖爆殺事件
第十三章 米英日の新政権と世界恐慌下の内外政策
第十四章 治外法権撤廃交渉

第三部 広域経済圏形成の中で
第十五章 満州事変の勃発
第十六章 満州事変期の政治、経済再編と対外関係
第十七章 満州事変後の対中国政策
第十八章 帝国領域としての満州国
第十九章 イギリス自由主義とアメリカ自由主義の相克
第二十章 陸軍派閥対立と華北分離工作

終 章 二十世紀前半の英米世界秩序と日本

注 記
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索 引
詳細目次(PDF)

著者略歴

宮田 昌明(みやた まさあき)
昭和46年石川県生まれ
平成6年京都大学文学部史学科卒業
平成11年京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学
平成25年京都大学博士(文学)
現在 一燈園資料館「香倉院」(一般財団法人懺悔奉仕光泉林付属)勤務、里見日本文化学研究所客員研究員。

主要著書・論文
『西田天香一一この心この身このくらしー一』(ミネルヴァ書房、2008年)
『没後百周年記念トルストイ展 目録・解説』(一燈園資料館「香倉院」、2010年)
「日本政党史の軌跡と展望ー一中央と地方、役割の変化、国際情勢の影響一」、「戦後世界秩序、東アジア情勢と日本一ー米ソ対立下の中国の動向をめぐってー一」上下、「日本史の中の天皇」上下、『国体文化』1061,1066,1067,1073、1074号(日本国体学会、2012年10月,2013年3,4,10,11月)

共編・編纂協力
松田清・白幡洋三郎編『国際日本文化研究センター所蔵 日本関係欧文図書目録』全3巻(国際日本文化研究センター、1998年)
天華香洞録刊行委員会編(編集責任・大橋良介)西田天香『天華香洞録』全6巻・別巻1(財団法人儀悔奉仕光泉林、2004年)
フレデリック・クレインス(共編著)「17世紀オランダに普及した日本情報ー一デ・フリース陳西インド奇事詳解」における日本関係記述ー一」、『日本研究』第33集(国際日本文化研究センター、2006年10月)
倉富勇三郎日記研究会(代表・永井和)編『倉富勇三郎日記』第1,2巻(以下続刊予定)(国書刊行会、2010,2012年)

(参考:本書奥付より)

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