「国体学」の原点に立ち返る

平成25年に開講した《国体学講座》も本年で6年目を迎える。
 
これまでは文学史や思想史の観点から「国体」の考察を行ってきたけれども、本年度は「国体とは何か ― 里見岸雄と『国体科学』」と題して「国体学」そのものを俎上に載せることとし、その第1講が4月21日に武蔵野市立・かたらいの道市民スペースで行われた。

「国体」を巡る昨今の議論について、自説を展開する上で自らの「国体」観(あるいは論)を披瀝しているに過ぎぬと指摘した金子所長は、「国体」そのものを把握する必要性を指摘する。

金子宗徳所長

続いて、方法論の吟味に移った所長は、(日蓮仏教に対する信仰を前面に押し出す)田中智学と(現実を客観的に分析・綜合することで真理に辿り着く)里見岸雄の相違点を明かにし、後者を継承することの重要性を強調。

その上で、里見の著書『科学的国体論 ― 国体科学入門 ―』に基づき、①基盤となる社会的事実の生成、②仏教の流入と「国体論」の展開、③江戸期における排仏的「国体論」の隆盛、④近代における西洋思想の流入と反動、と種々の『国体論』を概観。 

本講座は少人数のゼミナール形式を採っており、質疑応答も活発に行われた。「国体」研究を志す者の参加を歓迎する。6月16日の第2講では、「『国体』認識の哲学的基礎」として、「国体」に関わる様々な現象を統一的に理解するための理論的考察を行う予定だ。

また、『国体文化』誌上に講義録を掲載する予定であり、合わせて御一読下されば幸いである。

SNSでシェアする

公式アカウントをフォローする