9月14日午後6時30分から、学士会館にて、第55回国体文化講演会が開催され、「戦前日本の経済学と第二次世界大戦」と題して、牧野邦昭・摂南大学経済学部准教授が講演した。
経済学には世界観としての側面と道具としての側面の二つ面があり、マルクス主義の普及に対抗するために前者が求められる一方、戦時体制・総力戦に対応して後者も発達した。
昭和十四年、陸軍に秋丸次朗中佐を中心とする「経済謀略機関」が創設され、「日本が米英に勝つ確率は非常に低い」ことを言外に匂わせる報告書が作成されたものの、「道具としての経済学」を駆使して開戦を阻止するには至らなかった。
こうした経緯を踏まえるなら、「道具としての経済学」を使いこなすためにも「世界観」を持たねばならぬと、牧野准教授は結論づけた。