学術研究大会、堂々と開催さる!

去る十月六日、第四回里見日本文化学研究所学術研究大会が靖国会館において開催された。

各方面の方々に多数御来場頂いた研究大会は、「『皇統』とは何か ― 『国体』から見た皇位継承」と題し第一部・基調講演と第二部・パネルディスカッションの二部構成で行われた。

第一部では、高森明勅先生(國學院大學神道文化学部講師・日本文化総合研究所代表)と富岡幸一郎先生(関東学院大学文学部教授・『表現者』編集委員代表)に基調講演を頂いた。

高森先生の「万世一系のための女系継承」では、皇位継承問題や女性宮家創設問題を議論するにあたって、用語の定義などを精緻に解説しながら、多くの識者が「女系」を完全否定しているわけではないことを指摘。「男系」「女系」という対立図式に持ち込むのではなく、「直系」や「双系」といった見方を視野に入れるべきではないかと問題提起。最新の研究動向や女系で皇位を継承した歴史的な実例などを紹介し、日本古来の伝統観に着目した立場から皇統論を展開。双系継承を再評価して万世一系の皇統を継承するために皇室典範を改正すべきで
はないかと結論付けた。

続く富岡先生による「日本文化としての皇位継承」は、作家・三島由紀夫の国体・天皇観を切り口に、キリスト教における血統観と対比しながら日本文明の特質を捉え直した。日本の国体と西洋文明との決定的な違いを示した後、現行憲法下で批判的に捉えがちな「象徴」に焦点を当て、今上陛下の御姿を拝して、天皇という存在が憲法上の概念を超越した。極めて宗教的な意味合いの強い象徴であると主張。さらには、昭和天皇による開戦詔書や玉音放送を手掛かりにして、政体の危機に際して国体が表出されているとし、日本文化のなかに息づいてきた天皇の御存在を描き出す。これらを踏まえ、男系という伝統を尊重していくべきだとした上で、今般の皇位継承問題でも君民一体の国体を支える民として歴史を学び、責任を持つべきだと論じた。

パネル・ディスカッションでは活発な質疑応答により講演の理解がさらに深まった。三時間足らずと限られた時間での研究大会であったが、改めて「皇統」概念を問うたことは、現代の皇室問題を考える上で非常に意義深いものとなった。

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