『新日本建設青年同盟 学習シリーズ 1 天皇とは何か』序文

里見岸雄著『新日本建設青年同盟 学習シリーズ 1 天皇とは何か』序  文

 日本を再建するためにはいろいろな必要事項があるが、就中最も根本的な必要は、天皇とは何かといふことを正しく知ることである。終戦以来、百鬼夜行して、国民の天皇観は滅茶苦茶にされてしまつた。日本の最大の不幸である。著者は昭和七年に「天皇の科学的研究」一巻を著し右翼の神憑天皇論を破折し、警告に努めたのであつたが、時勢を逆転する力なく、つひに驚天動地の一大変革を迎へる事となつたが、日本国民が若し今日にして、科学的に、天皇の真意義に自覚しないならば、日本民族の結合は薄弱となり、やがて亡国の浮目を見るであらう。さうなれば、民主主義にはなつたけれども、日本最大の悲史を招来するのほかないのである。

 短篇のため十分意を尽し得なかつたが、基本的問題はほゞその要を説いたつもりである。本書を一読して若し共鳴共感せられた君子は是非これを他の人々にすゝめて頂きたい。それが祖国防衛の誰れにも出来、そして最も重大な仕事である。正しい天皇観に安住する国民を一人でも多く作るといふことが、尊皇精神を有する著者の義務である。

著  者

目  次

〔1〕 天皇は国民か君主か
〔2〕 天皇の6要素
〔3〕 万世一系の天皇
〔4〕 天皇の三面
〔5〕 天皇の起源と三縁の形成
〔6〕 天皇は単なる制度ではない
〔7〕 天皇は資本家ではない
〔8〕 天皇が無くても国が治まるか
〔9〕 民主主義と天皇とは両立しないか
〔10〕 人間自覚史上の一大精華
〔11〕 天皇と国民生活
〔12〕 尊皇と個人の尊厳

里見岸雄著『新日本建設青年同盟 学習シリーズ 1 天皇とは何か』より

昭和48年5月1日 初版発行

著者 里 見 岸 雄

発行 日本国体学会・新日本建設青年同盟

 

『新日本建設青年同盟 学習シリーズ 1 天皇とは何か』は、里見博士が亡くなる前年にあたる昭和48年に上梓されたものです。

なお、展転社より刊行されております『天皇とは何か--憲法・歴史・国体』は全く別の内容ですので、そちらも併せて御一読ください。

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